腎移植Q&A

移植の手術や術後の状況を具体的に教えて下さい

自分の腎臓は取り出すのですか?

特別な場合を除いて自分自身の腎臓を摘出する必要はありません。

腎移植の出術はこわい手術ですか?

手術は全身麻酔で行います。手術中の出血量は500cc以内と多くありません。もともと腎不全の患者さんは貧血があるため、出血量にかかわらず輸血が必要となることもあります。手術内容は血管吻合と尿管の膀胱への吻合が主な操作です。従って、腎移植の手術自体はそれほどこわい手術ではありません。

腎臓はどこに植えるのですか? 手術時間はどれくらいですか?

腎臓は右下腹部の骨盤内に移植します(時に左下腹部)。手術の切開創は15cm~18cmです。手術時間はおおよそ3~4時間です。

移植直後、術翌日の状態はどんなですか? つらいですか?

移植直後は全身麻酔の影響や手術創の痛みなどのためつらいですが、術翌日にはかなり回復し水分や食事も摂れるようになり、つらさは著しく改善します。

手術創はいつごろ治るのでしょうか?

体内に入っていたカテーテル類は術後1週間以内でなくなり、創は10~14日くらいで治癒します。その頃からシャワーや入浴が可能となります。

移植後の尿はすぐに出るのですか? 術後の透析の必要性は?

生体腎移植ではほとんどの患者さんはすぐに尿が出て透析の必要はありません。通常、献腎移植では術後1~2週間透析を要します。脳死者からの移植では手術後すぐに尿の出る人がほとんどです。

拒絶反応とはどのようなものですか?

移植された腎臓を非自己として排除しようとする免疫反応が起きることを拒絶反応といいます。急性と慢性拒絶反応があります。

拒絶反応はどうやっておさえるのですか?

拒絶反応の予防のため毎日2~3種類の免疫抑制剤を内服します。拒絶反応が起こったときにはこれを治すための薬を注射します。

拒絶反応とは恐ろしいものでしょうか?

命に関わるような恐ろしいものではありません。免疫抑制剤が発達した現在、急性拒絶反応の頻度は10~15%程度です。また、仮に起こってしまっても早期発見と適切な治療で90%以上の方でほぼ完全に回復させることができます。慢性拒絶反応は根治はできないものの、その進行を遅らせることが可能です。かつてひとまとめに慢性拒絶反応といわれていたものの中に、免疫抑制剤の副作用、メタボリックシンドロームに関係したものがあることが分かってきましたので、それぞれに応じた対策がとられます。

免疫抑制剤の副作用は怖いですか?

副作用としては感染症、糖尿病、高脂血症、肝機能障害などがありますが、これに対しては他の免疫抑制剤に変更したり、組み合わせを工夫したりして十分に克服することができます。最近では効き目が強く副作用の少ない薬の開発が進んでいます。複数の免疫抑制剤を組み合わせて内服するのは、副作用を減らすためでもあります。腎移植に必須であったステロイドホルモンも症例により早期減量、中止することが試みられています。

移植手術後の入院日数は普通どれくらいでしょうか?

生体腎移植での入院期間は特別な異常のない限り移植手術後約30~40日間です。献腎移植では無尿期があると長くなります。ABO不適合間生体腎移植でも少し長くなると思われます。

移植後退院したら月にどのくらい通院するのですか?

退院後数ヶ月は月に2~3回、それ以降は月に1回と徐々に通院間隔を開けていきます。

透析不要となったシャントはどうなるのでしょうか?

シャントはそのまま放置しておきますが、自然に閉塞することがあります。場合によりシャントを閉塞させる手術をすることがあります。

腎移植後いつ頃から仕事ができますか? また運動はできるのですか?

退院後1~3ヶ月過ぎれば仕事ができるようになります。運動も同じくらいです。格闘技や鉄棒以外、水泳、ゴルフ、テニスなどの運動は可能です。世界移植者スポーツ大会の記録を見ると、鍛錬すると移植患者さんは健常人とほぼ同じ体力をもてることが示されています。

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